2020年から小学校で必修化された「プログラミング教育」ですが、目的はプログラマーを育てることではなく、「プログラミング的思考」を身につけることだと文部科学省は明記しています。この記事では、保護者がよく抱く「プログラミング的思考って結局なに?」「論理的思考と何が違うの?」「家庭でどう育てればいい?」という疑問に、文科省の定義と具体例を交えて答えていきます。
結論:プログラミング的思考は「目的を達成する手順を組み立てる力」
文部科学省は『小学校プログラミング教育の手引』で、プログラミング的思考を次のように定義しています。
「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」
言い換えると、「やりたいことをゴールとして設定し、達成までの手順を分解し、最適な順番で組み立て、うまくいかない時は改善する力」です。コードが書けることそのものより、こうした思考プロセス自体が重視されています。
論理的思考との違い:プログラミング的思考は「実行可能な手順」を伴う
論理的思考が「筋道立てて考える」一般的な力なのに対し、プログラミング的思考は「コンピュータが実行できる粒度まで手順を細かく分解する」点に特徴があります。たとえば「カレーを作る」という目的でも、論理的思考なら「材料を切って煮る」で済みますが、プログラミング的思考では次のように分解します。
- 玉ねぎを取り出す → 皮をむく → 半分に切る → みじん切りにする
- 鍋にサラダ油を大さじ1入れる → 火をつける(中火)
- 玉ねぎを入れる → 茶色になるまで5分炒める
- 水を400ml入れる → 沸騰したらルーを入れる
このように、誰がやっても同じ結果になるレベルまで手順を分解するのがプログラミング的思考の特徴です。これは料理レシピや実験ノート、説明書作成にも直結する力です。
小学校の授業で重視される3つの理由
理由1:「答えのない問題」を解く力の土台になる
従来の学校教育は「正解を素早く見つける」訓練が中心でした。しかし社会に出ると、正解が一つに決まらない問題ばかり。プログラミング的思考は、ゴールまでの道筋を自分で組み立てる経験を積めるため、未知の課題への対応力を育てます。
理由2:失敗を「改善のチャンス」として扱う姿勢が身につく
プログラムは最初から完璧に動くことはほぼなく、エラーが出たら修正、また実行、また修正の繰り返しです。この試行錯誤を当たり前と捉える姿勢が、テストで間違いを恐れる子どもの心理的ハードルを下げ、学習全般のリトライ力を高めます。
理由3:他教科と組み合わせて学ぶ「教科横断型」に向く
小学校では算数の正多角形の作図、理科の電気回路、音楽のリズムパターンなど、他教科の中にプログラミングを組み込む形で授業が進みます。プログラミング的思考はそれぞれの教科の理解を深める「補助線」として機能します。
プログラミング的思考を構成する4つの要素
- 分解(Decomposition):大きな課題を小さな手順に分ける
- パターン認識(Pattern Recognition):似た部分を見つけて共通化する
- 抽象化(Abstraction):本質的な情報だけを抜き出して考える
- アルゴリズム(Algorithm):手順を順序立てて並べる
これらは「コンピュテーショナル・シンキング(Computational Thinking)」とも呼ばれ、英国・米国などのIT先進国でも初等教育で重視されています。
家庭でプログラミング的思考を育てる具体例
パソコンがなくても、日常生活の中で十分に育てられます。以下は今日から試せる方法です。
- 「お手伝いの手順を分解する」:洗濯物をたたむ手順を子どもに説明させる。「まずタオルを広げて、半分に折って…」と言語化させると分解の練習になる
- 「最短ルートを考える」:買い物に行くとき、複数の店を効率よく回るルートを子どもに考えさせる
- 「説明書を作らせる」:折り紙や工作の作り方を、知らない人にも分かるように紙に書かせる
- 「ボードゲームの戦略を言葉にする」:勝った理由・負けた理由を手順として説明させる
本格的に伸ばすならビジュアルプログラミングから
家庭学習の延長として、ScratchやViscuitなどのビジュアルプログラミングに触れさせると、プログラミング的思考を実際に「動くもの」として確かめられるため理解が深まります。Scratchは無料で、世界中の小学校で採用されている定番ツールです。
体系的に学ばせたい場合は教室通いも選択肢になります。代表的な教室を予算別に挙げると次の通りです。
- 低価格・自宅学習型:デジタネ(年間プラン月3,980円・教材費0円)
- 少人数オンライン:アンズテック(月2回9,350円〜・少人数個別レッスン)
- 全国に教室がある:QUREO(月9,900円〜・全国3,266教室)/ヒューマンアカデミージュニア ロボット教室(月11,550円・全国2,000教室以上)
- 本格カリキュラム:Tech Kids School(月23,210円・教材費2,200円)/LITALICOワンダー(月29,700円〜・オーダーメイド)
「プログラマーにしないなら不要」という誤解
プログラミング的思考は、エンジニアになる人だけでなく、医師・弁護士・経営者・職人などあらゆる職業で求められる「段取り力」そのものです。文部科学省が小学校段階で全員に学ばせる方針を打ち出したのも、特定職業のためではなく汎用的な思考力として位置づけているからです。
お子さんの将来の進路がどうあれ、「自分でゴールを決めて、手順を組み立て、改善して達成する」経験は必ず役に立ちます。家庭での声かけから始めて、興味を持ったら教室ランキングや費用比較を見ながら次のステップに進んでみてください。



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