「AIが全部コードを書いてくれる時代に、子どもにプログラミングを習わせる意味ってあるの?」
正直に言うと、私自身がこの疑問にぶつかりました。元システムエンジニア(8年)で、今は小学生の娘2人にプログラミングを学ばせている母親という立場です。つまり、技術のこともわかるし、月謝を払っている財布の当事者でもあります。
この記事では、きれいごとを抜きにして考えます。「論理的思考が身につくから意味がある」——そういう抽象的な話ではなく、実際にAIにコードを書かせてみて、そのうえで月謝を払う価値があるのかを検証しました。
- 筆者は教室の運営者ではありません(=「習わせるべき」と言う利害がない立場です)
- 元エンジニアとして、AIが実際にどこまでコードを書けるか判断できます
- 実際に月謝を払っている保護者として、費用対効果を考えます
- 結論は「万人におすすめ」ではありません。やめたほうがいい家庭もあると考えています
まず事実:2026年のAIは、もう「そこそこ書ける」どころではない
議論の出発点として、AIの現在地をはっきりさせておきます。ここを曖昧にしたまま「それでも人間の思考力が大事」と言っても、説得力がないからです。
2026年現在、生成AIは簡単な指示だけで動くプログラムを丸ごと書けます。子ども向け教室で扱うScratchのゲーム程度なら、AIに「こういうゲームを作って」と伝えれば、かなりの部分が完成してしまいます。実務でも、エンジニアがAIを使って作業時間を大幅に短縮する例は珍しくありません。
つまり、「コードを書く作業そのもの」の価値は、確実に下がっています。ここは認めるべきだと思います。「AIがあっても人間がコードを書く力は必要!」と単純に言い切る記事を見かけますが、私は正直それは怪しいと感じています。
では、プログラミング教室は無駄なのか?
ここで「だから無駄」と結論を出す前に、私が実際に確かめたことをお話しします。
AIに作らせたゲームと、娘が作ったゲームの違い
私は元エンジニアなので、AIが出したコードの良し悪しを判断できます。そこで気づいたのは、AIは「言われたとおりのもの」は作れるが、「何を作りたいか」は決められないということでした。
わかりやすい例が、うちの娘です。娘はお絵かきが大好きで、ゲームを作るときもキャラクターのデザインに、とにかく時間をかけます。主人公の髪の色、服、表情——「ここはこうじゃなきゃ嫌」というこだわりが強くて、肝心のゲームの仕組みを作る前に時間切れになることもしばしば。正直に言えば、最後まで完成せずに「まだ終わってないのに!」と駄々をこねるところまでがワンセットです(親としては、なかなか大変です)。
でも、AIに同じようなゲームを作らせてみて、はっきりわかったことがあります。AIは「かわいいキャラのゲームを作って」と言えば、それっぽいものを一瞬で出します。ところが、娘が延々こだわっている「このキャラじゃなきゃ嫌」という部分は、AIには決められないのです。何を「かわいい」と思うか、どんな世界観にしたいか——それを持っているのは娘だけでした。
そして、完成しなくて駄々をこねるあの時間も、実は無駄ではないと思っています。「なぜ終わらなかったのか」「次はどう時間を使えばいいか」を、悔しさとセットで少しずつ覚えていくからです。作りたいものを決め、こだわり、つまずき、それでも仕上げようともがく——この一連のプロセスは、AIに丸投げできません。判断しているのは、いつも作った本人だからです。
AIを使いこなす側に回れるかどうか
もう一つ、元エンジニアとして強く感じることがあります。
AIが出したコードが正しいかどうかは、ある程度わかる人にしか判断できません。AIは平気で間違ったコードを出します。動いているように見えて、実は問題を抱えているコードも書きます。私が仕事でAIを使えるのは、「これは変だ」と気づけるからです。
これから先、AIに指示を出して、出てきたものを評価できる人と、AIが出したものを鵜呑みにするしかない人の差は、確実に開いていくと思います。プログラミングを学ぶ意味があるとすれば、私はここだと考えています。「コードを書けるようになる」ためではなく、「AIを使う側に回るため」です。
正直な費用対効果:月2万円は高いのか
ここからが、多くの記事が触れない部分です。「意味はある」と言われても、月2万円を何年も払うかどうかは別の話ですよね。
当サイトで主要14校の料金を公式サイトで調査したところ、実際の相場はこうでした。
| タイプ | 月謝(税込) | 年間の目安 |
|---|---|---|
| オンライン教材型 | 月 3,700〜5,000円 | 約4〜6万円 |
| 通学・オンライン指導型 | 月 8,000〜23,000円 | 約10〜30万円 |
| ロボット型 | 月 9,800〜19,800円+キット代 | 約15〜25万円 |
通学型で月2万円なら、年間24万円、3年通えば70万円以上です。決して安くありません。私はこれを「教育投資」という言葉で曖昧にせず、こう考えました。
払う価値があると思うケース
- 子どもが「作りたいもの」を持っている — 自分のアイデアを形にしたい子は、試行錯誤のプロセスごと身につきます。ここにお金を払う価値があると思います。
- 家庭では教えきれない — 私は元エンジニアですが、それでも娘に教えるのは難しいです(親子だと甘えが出ます)。第三者に見てもらう価値は実感しています。
- 一人では続かない — 教材を買って放置、が目に見えているなら、強制力にお金を払う意味はあります。
正直、払わなくていいと思うケース
教室を紹介するサイトとして書きにくいことですが、正直に書きます。
- 子どもが乗り気でない — 「AI時代だから」と親の不安で通わせても、身につきません。月2万円をドブに捨てることになります。
- とりあえず様子を見たい段階 — Scratchは無料です。まず無料で試して、子どもが夢中になるか確かめてからで十分だと思います。月3,700円台のオンライン教材型から始める手もあります。
- 「プログラマーにさせたい」から — その動機なら、私はおすすめしません。職業としてのプログラマーがAI時代にどうなるかは、正直誰にもわかりません。
私の結論:目的を「コードを書けるようになること」から変えるべき
AI時代にプログラミングを学ぶ意味は、あると考えています。ただし、目的を変える必要があります。
| これまでの目的 | AI時代の目的 | |
|---|---|---|
| ゴール | コードを書けるようになる | AIを使いこなす側に回る |
| 身につけるもの | 文法・書き方 | 作りたいものを決める力、出てきたものを評価する力 |
| 大事な経験 | 正しく動くコードを書けた | 思ったとおりに動かない原因を自分で見つけられた |
「文法を覚えさせる」だけの教室なら、AI時代には価値が下がると思います。逆に、子どもが自分で作りたいものを決めて、つまずいて、直す経験ができる教室なら、月謝を払う価値は今もあると私は考えています。
教室を選ぶときは、体験レッスンで「言われたとおりに作らせる授業か、自分で考えさせる授業か」を見てください。ここが、AI時代の教室選びで一番大事なポイントだと思っています。


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